貯蓄型保険はインフレに弱いのか?

個人年金保険、学資保険のような貯蓄性の高い保険商品の弱点だと言われるのがインフレ(インフレーション)です。インフレとは簡単に言うと物価が上がること。今日1000円で買えた品物が、値上がりして2000円じゃないと買えなくなる現象のことを言います。どうしてこれが弱点になるかというと、個人年金保険は「定額年金」、つまり、契約した時点で、将来もらえる年金額が決まっているからです。

 

60歳から10年間、毎月3万円の年金がもらえる個人年金に入ったとします。でも、いざ自分が60歳になったとき、インフレが進んでいたらどうでしょうか? 

 

今日1000円で買える品物は、今、手元に3万円あれば30個買うことができます。ですが、自分が60歳になったとき、この品物が2000円になっていたら15個しか買えないわけです。つまり今の3万円にくらべて、将来の3万円は価値が下がったことになります。

 

個人年金保険は、普通に貯蓄するよりは、支払ったお金の総額が増えた形で年金として戻ってきます。ただ、増えると言っても、返戻率は110%くらいのもので、そんなにすごくたくさんは増えませんね。その増えたぶんよりも、インフレによって物価が上昇した度合いが大きければ、むしろもらえるお金が減ったのと同じことになります。金額自体は増えていても、その価値が下がっているのですから。

 


インフレになっても平気な保険とは?


インフレのリスクに対応できる保険はないのでしょうか?「変額保険」であれば、インフレに強いとされています。変額保険は、保険料を積極的に運用して、その運用成績しだいで将来もらえる金額が変動する保険です。通常の積み立て型保険などより高い利率で金額を増やせる可能性がある一方、期待したほど増えなかったり、商品によっては元本割れしてしまったりするリスクがある商品です。

 

ところでインフレの原因はいくつかありますが、景気が良くなったというのが代表的なものです。変額保険は、株式投資信託など投資性の強いもので資金を運用しますが、そういった金融商品は好景気では値段が上がりやすい特徴があります。ですからインフレのときは、変額保険の資産運用が成功しやすいのです。

 

つまり、通常の積立型保険は、もらえる金額が定額なので、インフレになるとその価値が下がってしまうのに対して、変額型の保険はインフレになったときは、もらえる金額そのものが増えている可能性が高いということです。そのため、お金の価値が下がっても、額自体が増えているので物価が上がっていても損をしません。

 

ちなみに、公的年金も、「マクロ経済スライド」というインフレなどを考慮した調整が行われ、受給額が変更される制度があります。


弱点をカバーする方法は?


変額保険はインフレには強いものの、将来受け取る保険金額が一定しないというリスクがありますね。ある面でメリットがあれば別の面でデメリットがあるのですから、こればかりは絶対の正解はありません。 そもそも、将来インフレになるかどうかも、誰にも予測できないことなのです。

 

変額保険は不安なので、やっぱり普通の積立型の保険にしたい。ではインフレのリスクは受け入れるしかないのでしょうか?

 

これをカバーするのは、老後資金づくりをひとつの方法だけに頼らないことしかありません。つまり個人年金保険だけで老後資金をまかなおうとするとインフレが起きたら価値が下がってしまうので、預貯金やほかの資産運用などを合わせて総合的に準備するのが良いということです(預貯金もインフレには弱いですが、要はいろいろなタイプの金融資産を持っておくのがいいということです)。

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